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黒船屋の日記のような掃き溜めのような。
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人を不幸にする夢が多すぎた(c)


先週ラインバレルを見終わった後、何気なくチャンネル回していたら以前から見たかった作品を偶然放送していて思わず寝るのを忘れた黒船屋です、ごきげんよう。
『上海バンスキング』という映画です。原作は斉藤憐の戯曲。つまりは舞台作品を映画化したものですね。

日中戦争前夜から敗戦直後までの上海を舞台に、時代の波に翻弄されるジャズメンたちの生活を生き生きと、時に残酷に描いた作品(@ブリタニカ百科事典)
途中から見たので事情を把握するのに手間取りましたが、ていうか何の映画かさっぱり分かんなかったのですが、そこはそれ。昭和くさい画像とどことなくお中華な雰囲気に惹きつけられて見てるうちに、『上海バンスキングだ』って気づいた次第です。
高校?の頃から気になってて、あらすじ読む限りでは敗戦による挫折とそこから再起するジャズバンドの比較的明るい話かと推測してたのですが。とんでもない。
むしろ逆でした。上海に渡ってジャズに人生かけた人々が戦争と云う時代の流れに翻弄され、ある人は戦争に召集され、ある人は阿片に溺れ、あの輝かしい日々はなんだったのかと苦い追憶に耽りながら終わってゆく……。って、これバッドエンドぢゃんよ。
戦争と敗戦と云う暗い過去をジャズでふっとばして、明るい未来に繋げていこうぜ!!って話のほうがジャズを題材にしているのならしっくりきたのかなぁと思わないでもないですが、夢を追っていたかつての青年達が、大きな「何か」に飲み込まれて夢を見失ってゆくというテーマも興味深かったです。
夢を追って上海へ→挫折、みたいな流れとか、「人を不幸にする夢が多すぎた」とか、どことなく森川久美の「南京路に花吹雪」を髣髴させたり。夢と繁栄、挫折と頽廃、権力と闘争、みたいなものが入り混じった時代の上海って、映画なり漫画なりで表現するとそういうテーマに流れ着きやすいのかなと思ったりもしましたよ偉そうに。でもそれを確かめたいという思いも含め、やっぱり当時の上海への興味はつきなかったりします。
そして何より「魔都」と呼ばれた時代の上海の映像が美しく妖しく、わたしのハートを打ち抜かずにはいられませんでした。てか、ロケするにしても映画製作当時だったら、まだ古い時代の上海の面影が残っていたんだろうなぁ。そういう「つくりもの」ではない背景がそこかしこにあって、それだけで僕はもう満足でした。
あとろくでなし旦那に捨てられたヒロインと、日本軍中尉の仄かなラブロマンスとか、かなりまくまくしました。旦那が彼女を置いて逃げ出した後、偶然その場に居合わせた中尉と、旦那を驚かせようと着飾ったヒロインがタンゴを踊るシーンとか、中尉が満州に召集される前夜、彼のためにピアノを弾いて涙するヒロインとか、かなりときめきました。軍服とレヴューのダンサーであるヒロイン、そして上海と云う組み合わせ!!あああこれが萌えずにいられようか!!
ヒロイン役が松坂慶子だったのですが、おっとりしたお嬢さんっぽさのなかに、時代を生き抜くしなやかな芯の強さが垣間見え、その辺が非常に好感が持てました。おっとりしてるのに、いざと云うときの対応がそつなく理知的で、魅力のあるヒロインだったわ。が!!彼女の名前がわたしの本名と一緒で、名前を呼ばれるたびになにやらむずむずするのがちょっとアレでした。
時折挟まれるジャズバンドの演奏シーンもいいスパイスになってた。軍人相手に「swing×3」演奏した時とか、ぞくっとしたわぁ。これ、実際に舞台で見たらすごい迫力なんだろうな。

夢と自由と栄光と。時代の残酷さと、人生のほろ苦さをジャズと上海を軸に描いた物語です。
気になった方、一度ご覧になっては如何でしょうか? オススメ度は★★★くらい、かな?

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