ごめん、愚痴らせて

どうして今更後悔できよう。
ただの偶然が、運が、たったひと時この手に舞い降りただけでも幸運だというのに。
それをドブに棄てたのが、思いがけないとは云えわたし自身の選択であったというのに。
誰を責めることが出来るだろう。
ただ、わたしはわたし自身が思うよりも期待していたのです。
あの幸運を、チャンスを、絶対に逃したくはなかったのです。

わたしに未来はない。自分の力で切り拓き、将来を明るくする方法をわたしは屹度選べない。
其の努力が必要だと知りながら、必ずそれを放棄し続けてきたのだから。

もしかしたらそれを打開できるかもしれないと縋っていたのだ。棚から落ちてきたぼた餅に。
負け犬でいることに甘んじ、それを一生続けていく恐怖すら無きものとした人間が、今更何を変えられるというのか。
想い上りにもほどがある。所詮お前はその程度の人間だと理性は云う。

だけど今だけは、後悔と自責の渦の中に居させてください。そんな真似をすれば余計惨めになるだけだけど、溢れてくる悔いだけは私自身どうすればいいのか分からないのです。
後悔も、哀惜も、怒りも、畏怖も、みな愛や恋と同じだ。
自分でコントロールすることが出来ぬのに任せて、思うまま心の水瓶から溢れさせてしまう熱情。


そしてまたわたしは、決して信じることのない形而上の存在に縋るのだ。
ただ願わくば、今一度だけあの時のチャンスをわたしに与え給わんことを。