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前回の書き込みでうっかり「京都旅行について語ります」なんて云ったもんだから、引っ込みがつかなくなった罠。
皆様に改めて語ることは殆どないのですが、印象的だったことについていくつか。
・夜の八坂神社
泊まったところが近かったので、夜の八時に八坂様を訪問。むろん、休憩所やお守り売るとこなんかは閉まってますよ。
ライトアップがされているとはいえ、境内の闇は濃く、漆黒の空に朱塗りの社が浮かびあがるさまはおそろしく神秘的でした。明かりの灯った紅い灯篭が連綿と参道に並び、幻想の世界を描き出す。
まさに聖域。人を拒むかのような空気がそこかしこに流れ、闇の深さと厳粛なたたずまいに圧倒される。血の色をした灯火の裏に潜むのは、底知れぬ暗黒か、そこに息づく魔の気配か。本当に、妖怪でも出てきそうな情景でありました。
八坂様は色んな神様を祀っていて、小さな社があちこちに点在していました。どうやら厄除けの神社らしいですね。その中で美の神様を祀ってある社の前で、お賽銭投げて手を合わせる。美脚になりますようにと。
はい、そこ!!もう手遅れとか云わない!!!
・長楽館
八坂神社の裏にある、円山公園の一角にひっそりと佇む瀟洒な洋館。京都の重要文化財にも指定された明治建築のお屋敷です。ここを訪れるのが、長年の夢でした。
決して大きいとは云えない、けれども贅を凝らした内装に眼を奪われ続ける。解放しているお部屋や廊下をじっくりと見て周り、心ゆくまでシャッターを押し続ける至福の時間……嗚呼、こんなお屋敷に住んでみたい!!!
一番きゅんとしたのが、シノワズリーなつくりの洋間。黒檀に螺鈿を象嵌した堂々たる長椅子、マントルピースのデザインも東洋風で、これぞお中華バロック!!を感じさせる空間でありました。
でもやはり紅い絨毯の敷きつめられた廊下とエントランスが一番豪奢で、絢爛だった気がします。
・祇園のはずれ
通りの名前を知らないから勝手にこう呼びます。
花見小町の雰囲気も、いかにも京都っぽさが出ていてよろしいのですが、どうも露骨に観光地化していて馴染めない感じがありました。
しかし今回ふと迷い込んだ露地には、そことは違う慎ましい空気が流れいていて、しっとりと心が和んだのを覚えています。
透き通る河のせせらぎ、眩く光を照り返す水面。いい具合に古びた軒先に、染め抜いた蒼がまぶしい『氷』の暖簾がひるがえる。朱塗りの桟橋を往けば下駄が軽やかに鳴り過ぎて、なよやかな細い影が枝垂れ柳の影に隠れた紅い社から去ってゆくことをそれとなく教える……。
何気なくも優雅な京のひとこまに、僕は様々な想い(と書いて妄想と読む)を巡らせるのであります。
・三月書房
めぼしい資料があまりなくって、オーマイガッ!!!って気分でした。
初めて訪れた時の興奮が、今回はやってこなかった。あの時はもう此処でしか買えないんぢゃないかってくらいレアなものが、無造作に積み上げられていたのに。そう溜息をつきつつも、やはりその時欲しいと思ったからには買っておかねばならないのだと云う結論に辿り着く。長野まゆみや乱歩を特集した幻想文学のバックナンバーなんて、たぶんもう何処にも売ってない。古本屋にでも行けってか。
とりあえず『不思議庭園の魔物』とペヨトルの同性愛文学についての考察本←酷 を購入。この本、僕が生まれる前に発行されたんだぜ!!
行ってみて何より驚いたのが、高二のときと街並みや風景が全然変わっていなかったこと。
開発が進む地元や、土地の変化がめまぐるしい東京では考えられないことです。
やはりあの地には冒すべからざる独自の時間が存在しているのだなと思わざるを得ないのでした。あそこは平安貴族の都だ。俗世とは違うんだ。
あと今回は殆ど寺社には行きませんでした。目ぼしいところは前回殆ど回ってしまったので。
そしてあちらこちらの店先から僕を手招きする和柄グッツの誘惑……!!己の欲望を律するのが大変なくらいでした。そして古色ゆかしいお着物の数々を見つけるたびに、着てみたい衝動に駆られっぱなしでした。あーんな奇麗なお着物ならば、毎日着たっていい。和装を普段着に出来たら、どれだけいいだろう。
なぞといった夢を膨らませる黒船屋なのでした、合掌。
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